債務整理

★債務整理を弁護士に依頼するメリット

 債務整理を弁護士に依頼すると、弁護士から貸金業者に対して弁護士が介入した旨の通知を出します。これにより、貸金業者は、債務者本人に対して支払いの請求をすることができなくなります。
 このように、即座に請求をストップすることができるとともに、現在の借金の状況に即した方法を検討のうえご提案し、借金問題を解決するお手伝いをさせていただきます。
 以下、代表的な方法である任意整理、自己破産、個人再生について解説します。


★任意整理とは

 任意整理とは、弁護士が各債権者と交渉し、将来の利息の免除や大幅な減額を受けて、毎月の返済額をあなたの支払える金額の範囲内に抑え、3年から5年の間で分割で返済する方法です。
 特に、利息制限法を超える高金利での借入がある場合は、利息制限法の範
囲内の金利に引き直しの再計算を行い、債務の元本の減額を受けて3年から5年の間で分割で返済をしていきます。

 

●任意整理のメリット

  • 利息制限法を超える高金利での借り入れがある場合、引き直し計算による元本の減額が期待できます。取引の期間の長さや内容によっては、過払い金を取り戻せることもあります。
  • 裁判所を利用しない手続であり、ご用意いただく資料があまりありません。
  • 破産手続と異なり、現在保有している 財産を処分する必要がありません。

●任意整理のデメリット

  • 自己破産や個人再生と異なり、債務の免除や大幅な減額が期待できません。
  • 一括での弁済を強く要求してくるなど、任意整理に協力しない業者がいます。
  • ブラックリスト(信用情報機関)に事故情報が登録されるので、一定期間、新規の借り入れができません。

★自己破産とは

 自己破産とは、借金が払えなくなったときに、裁判所に破産する旨を申し立てることにより、借金がゼロになる制度です。債務者にとっては、借金の返済を免除してもらうことにより、生活の立て直しと再出発のチャンスが与えられます。

 

●自己破産手続の流れ

 返済の免除(免責)を受けるためには、以下の手順を踏むことが必要です。

 まず、自分の生活状況と債務状況を明らかにして今後の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらいます。
 また、現在の自分の財産状況を明らかにします。一定の金額を超える財産がある場合(東京地裁では時価が20万円を超える財産)には、その財産を処分して破産手続の費用や債権者への配当に充てることになります。
 それとともに、裁判所へ借入の経緯や理由を明らかにして、大きな問題がないことを裁判所に認めてもらう必要があります。
 自己破産手続には、処分すべき財産がなく、借入の経緯や理由に大きな問題がない場合にのみ選択される同時廃止手続と、裁判所が選任した破産管財人により財産処分や調査が実施される管財手続があります。同時廃止手続は破産法上は例外として位置づけられているため、裁判所に選択してもらうためには申し立ての時までに十分な調査をすることが求められます。

 

●自己破産のデメリット
 自己破産には、借金がゼロになるという大きなメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。

  • 住宅や登録年数の浅い自動車などは処分することが必要です。
  • 官報に掲載されます 。もっとも、一般の方が官報を目にする機会はほとんどありませんので、それほど気にされる必要はありません。
  • 自己破産手続開始から免責確定までの間(3か月から6か月程度)、警備員や保険の外交員などの一定の職業について資格が制限されます。
  • 過度の浪費やギャンブルを理由とした借金などの場合には、免責が認められないことがあります。
  • 税金、養育費、婚姻費用、故意または重過失による損害賠償債務などは免責されません。
  • ブラックリスト(信用情報機関)に事故情報が登録されるので、一定期間、新規の借り入れができません。

★個人再生とは

 個人再生とは、借金が払えなくなったときに裁判所に申立てをして、債務を大幅に減額してもらい、残った債務を分割で返済していく制度です。残 った債務は、原則として3年間で分割返済します。
 マイホームを残したい、職業の制限を受けたくない等の事情で自己破産を選択できない方に適しています。
 ただし、個人再生を利用するためには以下の要件を満たしている必要があります。

  • 給与等の継続又は反復した収入があること
  • 住宅ローンを除いた債務総額が5000万円を超えないこと

 そして、個人再生手続により免除される債務の額は、以下のとおり債務総額により決められています。

債務の総額(住宅ローンを除く) 最低弁済額
100万円未満 その債務額(免除されません)
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 総額の5分の1
1500万円以上3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 総額の10分の1

 

 ただし、現在保有している財産の時価の合計額(これを清算価値といいます)が上記の最低弁済額を上回る場合には、清算価値が最低弁済額となります。
また、特に給与所得者等再生については、可処分所得(収入から税金や生活費を控除したもの)の2年分が最低弁済額を上回る場合には、2年分の可処分所得額これが最低弁済額となります。

 

●個人再生のメリット

  • 職業についての資格制限がありません。
  • 浪費やギャンブル等で多額の借金をしてしまった場合でも利用できます。
  • 住宅その他の資産を処分する必要がありません。

●個人再生のデメリット

  • 債務が残ります(最低弁済額の定めがあります)
  • ブラックリスト(信用情報機関)に事故情報が登録されるので、一定期間、新規の借り入れができません。